◎本記事を読むべき対象者
- ドライバー
- 歩行者
- 技術士二次試験建設部門道路分野の受験者
幹線道路の交通安全対策に引き続き、道路技術者のわたしが、生活道路の交通安全対策について解説します。生活道路は交通事故が非常に多いため、自動車運転者も歩行者も必見の内容です。また、技術士試験道路部門受験者は抑えておくべき内容です。
◎生活道路における交通事故の実態
交通事故死者数は、2017年から3年連続で戦後最少を更新しております。特に、自動車乗車の死者数は、G7の中で最少です。
しかし、歩行・自転車乗車者の死者数は、G7でアメリカに次いでワースト2位です。
歩行・自転車乗車者の死者数は、全交通事故死者数の約半数(50%)です。更に、その約半数(25%)は、自宅から500m圏内の道路で発生しています。
つまり、自宅周辺の身近な生活道路は、死亡事故のリスクが非常に高いことが分かります。
◎生活道路における交通安全対策
以上の実態より、国では、生活道路において以下の交通安全対策を実施していきます。
○ビッグデータによる交通安全対策
車載器等により得られるビッグデータをもとに、速度超過、急ブレーキ発生、抜け道等の潜在的危険箇所を特定します。
特定した結果、各箇所の交通事故が生じやすい特性に応じて、交通安全対策を以下4種類の目的で分類し、交通安全対策を行います。
【対策①】進入口を入りにくくする。
・スムース歩行
ゴム製ブロック等により横断歩道高をあげることで、車道脇歩道高と合わせ、歩行者がスムースに歩行できるようにすることを指します。
・ライジングボラード
時間帯やリモコン操作等により上下に稼動し、自動車の通行を制限させるポールのことを指します。
【対策②】走行速度を抑制する。
・凸部(ハンプ)
道路を部分的に隆起させ、通過自動車に振動を与えることにより、自動車の速度を抑制させる構造物のことを指します。
・狭さく
道路を部分的に狭く、もしくは視覚的に狭く見せることで、自動車の速度を抑制させる道路構造を指します。
・シケイン
植樹帯等の障害物を設置し、自動車の速度を抑制させる道路構造を指します。
・ブロック系舗装
車道舗装を歩道と同じブロック舗装等にすることを指します。車道と歩道の境界を曖昧にすることで、速度及び侵入抑制効果があります。
【対策③】歩行者空間を確保する。
・防護柵、路肩のカラー舗装
【対策④】歩行者・自転車空間を優先して確保する。
◎最後に
冒頭のデータから分かるように、生活道路は非常に危険です。ビッグデータを用いて、効果的な交通安全対策が講じられるようになっています。しかし、原則は運転者および歩行者がより注意することが何より重要です。
交通事故にはお気をつけ下さい。それでは~
参考文献:国交省HP