【ドライバーへ】
道路技術者が解説する
ラウンドアバウト

◎本記事を読むべき対象者

  • ドライバー
  • 技術士二次試験建設部門道路分野の受験者

道路技術者の私が、段々と普及しているラウンドアバウトについて紹介します。自動車を運転する人は必見です。また、技術士二次試験道路部門の受験者は抑えておくべきキーワードです。

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ラウンドアバウトとは?

ラウンドアバウトは、トップ画のような海外でよく見られる環状交差点のことです。

信号機がなく、どの車両も交差点に流入した後、交差点内(環道)で左回りに走行し、目的方向の道に流出します。

環道の交通が優先され、環道に流入する車両は徐行し、環道に通行車両がなければ一時停止なしに流入可能です。

参照 https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/roundabout/pdf01/4.pdf&ved=2ahUKEwjM9pCYn5jpAhVXa94KHcQQBwgQFjAAegQIBBAC&usg=AOvVaw0MRFMjg0RQ4Zq5dBzrkrzT

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○メリット

▶安全性向上

直進車両と右折車両の交錯が無くなるため、交差点内の安全性が向上します。

▶円滑性向上

信号機がないため、深夜等の閑散時における信号待ちがなくなり、交通の円滑性が向上します。

▶複雑な交差点の処理能力

5枝交差点のような特殊な場合でも、交通の円滑性を確保できます。

▶ライフサイクルコストの縮減

道路照明以外の電力が不要です。

また赤信号のように、長時間に渡って、車両を停止させることがありません。そのため、車両のアイドリング時間を削減でき、環境負荷低減になります。

▶災害に強い

信号機がないため、災害などで停電した場合にも、常時と同様の交差点機能を発揮出来ます。また、信号機柱倒壊による、二次災害及び交通阻害の恐れがなくなります。

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○適用条件

多数のメリットを述べました。しかし、何処でもラウンドアバウトを設置できるわけではありません。

端的に説明すると、ラウンドアバウトは交通容量(車両を捌く能力)が小さいため、交通量が多い道路では適用できません。

以下に、『道路構造令の運用と解説』及び『国交省のHP』より詳細な適用条件及び注意事項を示します。(飛ばしても問題ありません。)

▶交通量

交通量は総流入交通量10,000(台/日)未満が適用条件とされています。上回る場合は、各流出入部において、時間あたりの流入部交通容量とピーク時間あたりの流入交通量を踏まえ、設置可否を確認します。

▶幾何構造

外径は、設計車両の種類、隣接して接続する道路の交差角度、及び分離島の有無を踏まえ、車両の通行軌跡を考慮し設定します。中央島は、乗り上げを前提としません。

▶留意事項

(交通量)

  • 横断歩行者・自転車が多い場合、交通確保に留意

(幾何構造)

  1. 形状は正円もしくは正円に近い形状が望ましい。
  2. 環道については、停車帯を設置しない。
  3. 分離島は設置することが望ましい。
  4. 中央島は通行する車両の見通しを十分に確保できる構造とする。
  5. 流出入部は安全かつ円滑に流出入できる構造とする。
  6. 幅員は走行性や安全性を踏まえるものとする。
  7. 環道とエプロンは利用者が認知できるよう区分する。

(交通安全施設)

  1. 照明は必要に応じ設置することが望ましい。
  2. 中央島に反射板等を設置することが望ましい。
  3. 案内標識「方面及び距離」、「方面及び方向の予告」、「方面及び方向」及び警戒標識「ロータリーあり」を、必要に応じ、設置することが望ましい。
  4. 区画線「車道外側線」及び「導流帯」を、必要に応じ設置することが望ましい。

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○我が国の現状

ラウンドアバウトついて、諸外国と比較すると、日本ではあまり普及しておりません。アメリカのラウンドアバウト設置数が2千以上に対して、日本は100を超える程度です。

以下に、現状の参考資料として、立地特性や県別設置数を示したグラフをけいさいします。その中で立地特性を見ると、「住宅地」で主に普及していることが分かります。宮城県が普及している理由は、東日本大震災後の再開発によると思われます。

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◎最後に

本記事では、日本ではまだ少ないラウンドアバウトについて紹介しました。

これからは、交通量の少ない道路で、ラウンドアバウトが普及していきますので、車両を運転する際のラウンドアバウトに流入する前は、一時停止し、歩行者や環道の優先車両等に留意して、走行するようにして下さい。

それでは〜

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