◎本記事を読むべき対象者
- ドライバー
- 技術士試験道路部門受験者
新しいETCの車載器について、道路技術者のわたしが解説します。ドライバー必見の内容です。また、技術士二次試験道路部門の受験者は抑えておくべき内容です。
◎ETC2.0について
ETC2.0について、なんとなく耳にしたことがある人が多いと思います。全く無い方も、流石にETCは知っていると思います。言葉通り、ETC2.0はETCのバージョン2のことです。
○ETCよって世の中が受けた恩恵
ETC(Electronic Toll Collection System)は、2001年に高速道路においてサービスが開始されました。
その後、利用率は上昇し、現在では料金所を通過する約9割の車両がETCを利用している状況です。
利用率上昇とともに、高速道路の料金所における渋滞の待ち時間は以下のように減少していきました。
○年間約63時間/台(2002年)
→年間約2時間/台(2017年)
道路網が整備されたなどの要因もありますが、非常に減っております。
○そしてETC2.0とは
世の中を大きく変えたETCのバージョンアップ版のETC2.0ってどれだけ凄いかということについて、これから述べます。
ETC2.0は2015年からサービスが開始され、従来の機能に加え、高速道路等の両脇に設置された路側機(通信アンテナ)とETC2.0車載器との間で双方向通信を行う機能があります。
そのことによって運転手は以下の情報を得れます。
- 渋滞情報
- 安全運転支援情報
- 災害時支援情報
今もカーナビやスマホでそれなりに得れる情報です。しかし、『双方向通信』がキーワードです。
双方向、つまり運転手側も車両の情報(プローブデータ)を路側機に送るのです。
具体的には以下の情報が送られます。
- 走行履歴
- 挙動情報(急停止とか急加速などの動き)
送られるデータの量が多くなればなるほど世の中の役に立ちます。
ICTの進歩でビッグデータを処理することができ、送られたプローブデータにより色んな事を分析できます。
例えば、速度が著しく落ちる箇所を抽出し、対策を講じることで、渋滞の緩和につなげることが出来ます。
逆にスピードが出やすい箇所には事故防止のための対策を講じることができるようになります。
他にも交通需要マネジメントに役立てたり出来ます。(道路網全体でバランス良く車両が移動できるように、高速の料金を調整したりする等のことです。)
AIと同じような話で、今まで可視化できてなかった問題を解決出来るようになるのです。
スマホの位置情報と組み合わせたりして、マーケティングとかそういう話にも今後は繋がっていき、新たなサービスが生まれると思います。可能性は無限大。
○ETC2.0の課題
ETC2.0は全然普及しておりません。
なぜならETCと違って、ユーザーが受ける恩恵を感じにくいからです。
いきなり、ETC2.0車載器を搭載したからと言って、すぐに劇的に日々の運転が快適になる訳ではありません。
最近、新車を購入した人は分かるかも知れませんが、ETC2.0を搭載するのには数万円必要です。
恩恵を感じにくいのに、お金がかかるので、勿論なかなか普及していきません。
今後の大きな課題です。
ただ、もう数年もすればETC2.0が当たり前の時代がやってきて、世の中の交通事情が更に良くなっているはずです!
◎まとめ
◎ETCの普及で劇的に渋滞時間が減った。
◎ETC2.0は双方向通信する機能を持つ。
◎車両側は渋滞、安全運転支援、災害時支援情報を受け取る。
◎反対にプローブデータを送信する。
◎プローブデータにより様々な交通の問題解決が期待できる。また新たなサービスも期待できる。
◎ETC2.0の普及には時間がかかりそう。
それでは〜
参考文献:国土交通白書