◎本記事を読むべき対象者
- 街から電柱がなくなることに興味がある方
- 技術士二次試験道路部門の受験者
日本の街並みが徐々に変化していることをご存知でしょうか。道路脇の電柱が少しずつですが減っております。本記事は、道路技術者のわたしが、その電柱を減らしていく取り組みである無電柱化について解説します。
技術士二次試験道路部門の受験者は抑えておくべき内容です。
◎無電柱化の概要と国の取組
○無電柱化とは
無電柱化とはその名の通り、地上にある電柱をなくしていくことです。
○無電柱化の方法
方法は主に2つあります。
▶その①
電線類を地中に埋める。
▶その②
裏通り等に電線類を配置してメイン通りから電線をなくす。軒下に配線する
○日本の無電柱化状況
日本はどれだけ無電柱化が進んでいるか、諸外国と比較したデータを以下に示します。
▶100%:ロンドン、パリ、シンガポール
▶96%:台北
▶46%:ソウル
▶8%:東京23区
▶6%:大阪市
断トツで日本は低いです。非常に遅れを取っています。
海外に行って、町並みがきれいと思う理由の一つかもしれません。
○無電柱化のメリット
メリットは3つあります。
▶町並みが良くなる。
▶道路が広がる。
狭い歩道を歩いたり、狭い道路を自動車で走行しているときに度々感じる、電柱が邪魔なストレスは解消されます。
▶災害に強くなる。
台風や地震の災害のニュースで電柱が倒れ、道を塞いでる映像を見たことがあるのではないでしょうか。
無電柱化により電柱倒壊による被害を無くすことができる上、支援ルートを確保でき、復旧のスピードを下げないようにできます。
○国の無電柱化推進の動き
無電柱化率は低い状況を打破しようと、国は力を入れております。
無電柱化にはコストがかかるため、以下の低コストな手法を取り入れております。
- 浅く埋めらるような基準の緩和
- 機器のコンパクト化に向けた技術開発の推進
- ケーブルを地中に直接埋める方法の実用化
また、以下の優先度で無電柱化が取り組まれています。
- 大都市の幹線道路
- 歴史的な街並みを保全すべき地区
- バリアフリー重点整備地区などの良好な住環境を形成すべき地区
皆さんのご自宅付近が無電柱化される時期はもう少し先になります。しかし、いずれは電柱が街から姿を消す未来が訪れます。
◎まとめ
- 日本の無電柱化は遅れている。
- 景観の向上、道路歩道等における電柱阻害の解消、防災性の向上などが期待できる。
- 国は低コスト手法を取り入れるなど、試行錯誤で無電柱化に取り組んでいる。
- 優先度順に無電柱化が取り組まれている。
まだまだ無電柱化が進んでないとはいえ、大都市の幹線道路等では既に無電柱化されているので、意識して町道路沿いを見てみてください。
将来の日本の町並みを垣間見ることができます。
それでは~