【技術士キーワード】
「ナショナルサイクルルート」
二次試験建設部門道路

目次

本記事を読むべき対象者

  • チャリ民
  • 技術士二次試験建設部門道路分野の受験者(設問Ⅱ、Ⅲ対策)

早いもので、技術士試験日まで残り1ヶ月を切りました。
今回は道路分野受験者に向けて、絶対におさえておくべきキーワード「ナショナルサイクルルート」について整理しました。設問ⅡでもⅢでも、出題されそうです。詳細まで記載しておりますが、指定要件が何かまではおさえておきましょう。また、留意点や工夫点の記述で使えそうな項目も要チェックです。

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ナショナルサイクルルートの概要

自転車活用推進法に基づき、自転車を通じて優れた観光資源を有機的に連携するサイクルツーリズムの推進により、日本における新たな観光価値を創造し、地域の創生を図るため、ナショナルサイクルルート制度を創設する。
サイクルツーリズムの推進に資する魅力的で安全なルートであることなど、一定の要件を満たすサイクリングルートを対象としてナショナルサイクルルートに指定する。
将来的には、全国のナショナルサイクルルートのネットワーク構想を検討する。

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ナショナルサイクルルートの指定要件

◎必須項目 ○推奨項目

指定要件1.ルート設定

複数の自治体を跨ぎ、主要な観光地を連絡する延長100km超のロングライドルートを想定。ルート近傍の主要アクセスポイントの空港、鉄道駅、道の駅等に、サイクリストの受入施設となる「ゲートウェイ」を整備することが必要。

評価項目①

サイクルツーリズムの推進に資する魅力ある安全なルート

考え方

サイクルツーリズムの推進に資する魅力的で安全なルートである必要

ルートの延長
  • 概ね100km以上(離島・島しょ部は除く)◎
ルートの魅力
  • 地域を代表する観光地と有機的に連携◎
  • 国際的な観光地と有機的に連携◎
  • 魅力的な景観の地域を通過◎
  • 地形の変化を楽しめる◎

※域内のサイクリングルートと連携し、地域振興に寄与するルートを目指す。

ルートの安全性
  • 自動車交通量が10,000台/日以上の幹線道路との車道混在を回避◎ ※郊外部で「走行環境の安全性」に規定する整備がされている場合を除く。都市部で代替ルートが無い場合は車道混在もやむを得ないが、市区町村の自転車活用推進計画における自転車ネットワーク計画に位置付けられていること。また、現地及びルートマップ等で注意喚起すること
  • 狭小幅員のトンネルを回避。◎ ※代替ルートが無い場合はやむを得ない。現地及びルートマップ等で注意喚起すること。
  • 生活道路を避けたルート。○ ※代替路が交通量の多い幹線道路しかなく、自転車の安全確保のためやむを得ない場合や、2つの道路を合理的に結ぶためにやむを得ない場合の他、歴史的街並みなどの観光資源となっている場合を除く。
ルートの連続性
  • 自転車で通行できない区間がない。◎ ※近くに代替ルートが無い場合はやむを得ない。現地及びルートマップ等で注意喚起されているとともに、自転車を押して通行できること。
子供や初心者への配慮
  • 幅広い世代が楽しめるように急勾配が連続する区間を回避○ ※代替路がない場合はやむを得ない。現地及びルートマップ等で注意喚起。
ルートの名称
  • 簡潔にルートの特徴を表し、日本人、外国人に分かりやすい名称であること○

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指定要件2.走行環境

評価項目①

誰もが安全・快適に走行できる環境

考え方

多様なサイクリストが安全に利用できる走行環境が整備されており、その維持管理がされていることが大前提

走行環境の安全性
  • 都市部(DID地区)で、自転車専用道路又はガイドラインに基づき市区町村の自転車活用推進計画における自転車ネットワーク計画に位置付けた上で、適切に歩行者・自動車と分離された自転車通行空間が整備されている(暫定形含む)。なお、自歩道は認めるが、自歩道であることを利用者に明確に示すこと。自歩道は橋梁やトンネルなどにおける危険回避を除き認めない。◎
  • 郊外部(DID地区以外)で、自転車専用道路又はガイドラインに基づき、適切に歩行者・自動車と分離された自転車通行空間が整備されていること(暫定形含む)。自動車交通量が10,000台/日以上かつ車道混在の場合は、更に外側線の外側に1.5m以上(特例1.0m以上)の幅員を確保。なお自歩道は認めるが、自歩道であることを明確に示すこと。自歩道は橋梁やトンネルなどの危険回避を除き認めない。さらに車道混在の場合は、100m程度の間隔で矢羽根を設置、または外側線の外側に1.0m以上の幅員(排水施設等の幅員を除く)を確保し、自動車交通量が概ね10,000台/日以上の場合は外側線の外側に1.5m以上(特例1.0m以上)の幅員を確保した上で100m程度の間隔で矢羽根を設置。◎
  • 情報板等でドライバーに対して当該道路がサイクリングルートとして活用されており自転車通行に配慮する旨の注意喚起。○
  • トンネル、橋梁、急勾配箇所の現地に注意喚起の看板等の案内表示を設置。◎
  • 自転車損害賠償責任保険等の加入を義務(努力義務含む)付ける条例の制定。◎
快適性
  • 未舗装区間がない。◎※快適性の劣らない自然地の未舗装区間等を除く。
  • 交差点では安全な通行を確保した上で、極力一時停止規制がなく、迂回なく通行可能。○
維持管理水準
  • 道路管理者等にてルートの管理基準(清掃・補修の水準)が設定され、維持管理の実施体制が明確。○
危険個所等の通報システム
  • サイクリストから走行上問題がある(路面の陥没や突起、草や落ち葉等)箇所について、意見収集による早期に補修等の対応できる仕組み。○

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評価項目②

誰もが迷わず安心して走行できる環境

考え方

多様なサイクリストがルート上を迷うことなく目的地まで行けることが必要

ルートの案内
  • 全線の統一仕様により、ルート名、自転車ピクトによる経路や距離の路面表示・看板が設置されている。◎ (単路部:概ね5kmごと、分岐部:必要箇所全箇所)※河川区域などで設置できない場合は除く。
  • 起点及び主要な目的地(主要都市や代表的な観光地等)までの距離を示す案内が一定間隔で設置。○
  • ルート沿線のゲートウェイ・観光施設・拠点(サイクルステーション)への案内(方面・距離等)が当該施設への分岐部及び一定の間隔で設置。○
  • 海外のサイクリストでも認識可能な多言語(日英2か国語以上)やピクトグラムでの案内。◎
  • ナショナルサイクルルート指定後に自転車活用推進本部事務局がナショナルサイクルルートの共通仕様として示すロゴマークを設置。◎

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指定要件3.受入環境

評価項目①

多様な交通手段に対応したゲートウェイ

考え方

ゲートウェイは、サイクリングの出発地点となることから、利用者の快適で安心な利用をサポートするための機能が利用可能であるとともに、多様な交通手段に対応できる必要がある

ゲートウェイの整備
  • ルートの存する域内にある主要アクセスポイント(空港、鉄道駅、道の駅等)に必要な機能を備えた「ゲートウェイ」が整備されていること。◎
必要機能
  • レンタサイクル又はシェアサイクルが利用可能。◎
  • 必要な情報(ルートマップ、宿泊施設、サイクルステーション、見所、食事、緊急サポート)が入手可能。
  • 必要な物品(タイヤチューブ、パーツ、携行食等)が購入可能。◎
  • 手荷物用のロッカー、着替えスペースが完備。◎
  • 空気入れ等の出発前の準備・調整に必要な工具の貸出。◎
推奨機能
  • シャワー等が利用可能。○
  • ゲートウェイで自転車の組立スペースを屋内(屋根のある空間)に確保。○
  • ゲートウェイまでの自転車の運搬サービス(鉄道・バスなどでの輪行、航空機による輪行のための専用ボックスの提供や保管サービス、自転車託送サービス等)が利用可能。○
  • ゲートウェイと宿泊施設等間で自転車や荷物の託送サービスが利用可能。○
  • ゲートウェイとルート間のアクセスルートが整備されており、そのアクセス方法のわかりやすい案内がされていること。◎

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評価項目②

いつでも休憩できる環境

考え方

ナショナルサイクルルートとして求める規模を勘案すると、一定間隔でサイクリストに必要な機能を有した休憩が必要

サイクルステーション(休憩施設)の整備
  • サイクリストが必要とする機能を備えたサイクルステーションをルート上に概ね20kmごとに整備。◎ ※河川区域などで困難な場合は、ルートの近くでもやむを得ない。
必要な機能

トイレ、空気入れの貸出し、水分補給(自動販売機・飲料水の提供)が可能、休憩スペース・設備(屋根付きのテーブル・椅子)、サイクルラックの設置、必要な情報(ルートマップ、宿泊施設、休憩施設、見所、食事、緊急サポート)が入手可能 ◎

推奨する機能

物品販売(チューブ、携行食、モバイルバッテリー等)、工具等の貸出し、wifiの提供○

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評価項目③

ルート沿いに自転車を運搬しながら移動可能な環境を備えていること

考え方

ナショナルサイクルルートとして求める規模を勘案すると、サイクリストのレベルや地形条件に応じて、公共交通による他の代替移動手段が確保されていることが重要

ルート上の迂回を図るための代替交通手段
  • ルート上の迂回(ショートカットや危険個所・峠道の回避)を図るための移動手段としてサイクルトレイン、サイクルバス、サイクルタクシーなどを設定。○
  • 上記手段について、利用者が計画を立てるのに必要な情報提供。○
自転車回送サービスとしての代替交通手段
  • サイクリストの体力や経験・実力による「走行できる距離」を勘案し、拠点までの自転車回送サービスとしてのサイクルトレイン、サイクルバス、サイクルタクシーなどを設定。○
  • 上記手段について、利用者が計画を立てるのに必要な情報を提供。○

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評価項目④

サイクリストが安心して宿泊可能な環境を備えていること

考え方

ナショナルサイクルルートは、複数日に跨り宿泊を伴いながら利用できることを想定しているため、サイクリストが利用可能な宿泊施設が必要

サイクリスト向けの宿泊施設
  • ルート直近にサイクリストが必要とする機能を備えた宿泊施設が概ね60kmごとにあること。◎
必要な機能
  • 室内(フロント、ロビー、客室等)で自転車の預かり・保管が可能◎
  • フロント等にて荷物の保管が可能◎
  • 洗濯可能◎
推奨する機能
  • 自転車など大型荷物を含む宅配の発送、受け取りが可能○
  • 洗車施設○
  • 日帰り利用も可能なシャワー設備○

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評価項目⑥

自転車のトラブルに対応できる環境を備えていること

考え方

長距離のサイクリングにおいて、トラブルが発生した時に対応できることが必要

修理サービス
  • ルート近くにトラブル発生時に必要な補修部品、自転車用品などを販売。○
  • ルート近くにトラブル発生時に利用できる自転車修理サービスや自転車の出張修理などのサービスを実施。○
  • 上記サービスについて、利用者が緊急時に利用するために必要な情報を提供。○
トラブル時の自転車搬送サービス
  • トラブル発生時に利用できるメンテナンスのサービス拠点まで、自転車を搬送するサイクルタクシーなどのサービスが利用可能。○
  • 上記サービスについて、利用者が緊急時に利用するために必要な情報を提供。○

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指定要件4.情報発信

評価項目①

誰もがどこでも容易に情報が得られる環境

考え方

多様なサイクリストが各ニーズに基づいた必要な情報を容易に確認できることが必要

情報発信
  • HP、SNS及びパンフレットで必要な情報発信◎
  • インバウンドに対応した多言語◎
  • ルートマップ◎
  • サイクリストが持ち運びやすく、水濡れに強い仕様○
  • ルートマップの配布◎
  • あらゆる場所で容易に情報を入手可能◎
ルートのPR
  • 海外の自転車展示会、旅行関係のイベント等に出展し、PRを積極的に実施。○

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指定要件5.取組体制

評価項目①

官民連携によるサイクリング環境の水準維持等に必要な取組体制が確立

考え方

ナショナルサイクルルートに指定された後も継続的な環境維持が必要

取組体制
  • 官民が連携し一体的に協議・検討・議論を行う常設の協議会、事務局を設置。※協議会メンバーに国・都道府県・市区町村と道路管理者・観光部局、観光地域づくり法人(DMO)等、必要に応じて警察、鉄道会社・バス会社等が含まれた体制で設置。◎
  • 上記協議会を定期的に開催。◎
地方版自転車活用推進計画への位置づけ
  • 指定されたナショナルサイクルルートに関する水準維持等に向けた取組内容を都道府県・政令市の地方版自転車活用推進計画に具体的に位置づける。◎ <計画への記載内容>ⅰナショナルサイクルルートの指定水準を維持するための具体的な施策と方針、ⅱナショナルサイクルルートの認知度向上のための情報発信、ⅲ更なる環境向上に向けた施策の展開方針、ⅳ走行環境、ⅴ受入環境、ⅵ魅力づくり、ⅶ情報発信

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参考文献

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