【技術士キーワード】
「道路の耐災害性強化」
二次試験建設部門道路


本記事を読むべき対象者

  • 道路の災害対策について知りたい方
  • 技術士二次試験建設部門道路分野の受験者

5/21に、新型コロナウイルス感染症の影響により、技術士試験延期が発表されました。まだ時期が未定でモチベーションコントロールが非常に難しいです。9/21(月)・22(火)に決まりました。
そこで、道路技術者のわたしが、建設部門道路分野の重要キーワードを整理しました。道路部門受験者は必見の内容です。

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道路の耐災害性強化

道路の耐災害性強化とは、災害時に生命線となる道路について、迫る大災害に対し、ソフト・ハードの両面から万全を期すべく、近年の大災害から得られた教訓をもとに、施策を講じていくことである。

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課題とその施策

①(課題)道路および周辺施設の損壊等による応急復旧作業等への支障

 (施策)多車線区間におけるジグザグ啓開により早期復旧が可能

 現状は片側1車線道路が多く、災害で通行止めになる可能性が高い。そこで、避難経路などの重要路線は他車線区間等で整備する。仮に1車線が通行できなくなっても、ジグザグ啓開により、早期復旧が可能となる。

②(課題)踏切の遮断による救急活動等への支障

 (施策)耐震補強や無電柱化、踏切立体化の推進

 災害時の通行止め対策は道路や橋梁だけでなく、踏切も実施する。

③(課題)通行規制・交通集中による渋滞発生

 (施策)交通マネジメントによる渋滞対策が不可欠

④(課題)特殊車両の通行許可審査の遅れ

 (施策)被災地に向かう特殊車両の通行許可審査に対する優先処理

⑤(課題)エネルギー障害による状況把握の遅れと通行止めの長期化

 (施策)停電時に道の駅の非常用発電機が機能

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耐災害性強化の具体策

(1)「発災後の統括的交通マネジメント」実施体制の制度化

 常時から交通マネジメントに係る統合的な組織を構築し、災害時には常時に行政が有する以上の特定の権限を与える。学識経験者をトップとし、道路管理者、警察、公共交通事業者に加え、学校関係者や経済界の代表、市民の代表などが参画した組織とする。オープンな議論を展開し、常時の交通マネジメントのルールにとらわれない迅速で柔軟な施策を展開していく。
 そのために、関係者に対して予算措置や必要なデータ共有などの協力を義務付ける制度が必要である。

(2)非常時における柔軟な車線運用のメニュー化と共有

 非常時における耐災害性を高めるための技術をメニュー化し、関係者間で共有する仕組みづくりが必要である。具体的には、①路肩の積極的な活用による走行空間の確保、②LEDを利用した区画線標示の活用などにより、フレキシブルに車線幅員(車線数)を設定 ③可動式中央分離帯の活用を含むリバーシブルレ-ンの適用などがある。

(3)災害に配慮した道路構造令等の見直し

 これまでは経済性を優先するあまり、災害や大事故などの非常時に対する対応能力を減殺する結果を生じさせてきたため、災害時には道路に一定の欠損が生じることを前提として、災害に配慮した整備水準へと見直す必要である。具体的には、①2車線道路の路肩を従来よりも拡幅、②救急車等の緊急車両のための緊急入退出路を設置、③回復力・復元力のある構造として原則4車線化、④緊急車両の駐車・停車機能強化のための道の駅やSA・PA等の容量拡大などがある。

(4)道路ネットワークの耐災害性評価手法の充実と沿道リスクアセスメント制度の導入

 道路ネットワークの耐災害性を評価する手法を充実させ、道路区域外のリスクを含めたアセスメントを実施する制度の検討が必要である。
 幹線道路だけでなく地方道も含めた耐災害ネットワーク構築の枠組みを整理した上で路線毎の評価を実施する。
 道路区域外に起因する斜面災害、隣接する河川の増水や倒木等のみならず、横断構造物や隣接する建造物の耐震性不足などがもたらすリスクについて、土木工学や森林学、地質学、地形学等の幅広い関係者と連携して検討する。

(5)迅速な復旧に向けたトレーニング強化 

 国と地方自治体が常時から連携して、復旧計画の策定方針やタイムラインを議論するなど、事前準備の強化が必要である。
 幹線道路から末端の地方道までが連携した復旧計画を策定する。
 地域の中に復旧に必要な工事用車両等をいかに配備するかといった検討を、地域と連携して実施する。
 道路啓開情報を公表するタイミングと公表内容について、自衛隊や消防、警察等と事前に調整しておく。

(6)徒歩避難が困難な場合の避難手段の検討 

 地震・津波発生時の避難行動について、徒歩での避難が原則となっている。しかし、津波到達時間、指定緊急避難場所までの距離等を踏まえて、自動車により避難せざるを得ない場合など一定の条件を満たす地域においては、自動車を利用した避難を前提として避難計画を策定した方が有効な場合もある。
 地域の実情に応じて、自動車で安全かつ確実に避難できる方策をあらかじめ検討する必要がある。

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参考文献

https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/sdt/index.html

道路の耐災害性強化に向けた有識者会議– 国土交通省

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