◎本記事を読むべき対象者
- ドライバー
- 技術士二次試験建設部門道路分野の受験者
道路技術者の私が、段々と普及しているラウンドアバウトについて紹介します。自動車を運転する人は必見です。また、技術士二次試験道路部門の受験者は抑えておくべきキーワードです。
◎ラウンドアバウトとは?
ラウンドアバウトは、トップ画のような海外でよく見られる環状交差点のことです。
信号機がなく、どの車両も交差点に流入した後、交差点内(環道)で左回りに走行し、目的方向の道に流出します。
環道の交通が優先され、環道に流入する車両は徐行し、環道に通行車両がなければ一時停止なしに流入可能です。
○メリット
▶安全性向上
直進車両と右折車両の交錯が無くなるため、交差点内の安全性が向上します。
▶円滑性向上
信号機がないため、深夜等の閑散時における信号待ちがなくなり、交通の円滑性が向上します。
▶複雑な交差点の処理能力
5枝交差点のような特殊な場合でも、交通の円滑性を確保できます。
▶ライフサイクルコストの縮減
道路照明以外の電力が不要です。
また赤信号のように、長時間に渡って、車両を停止させることがありません。そのため、車両のアイドリング時間を削減でき、環境負荷低減になります。
▶災害に強い
信号機がないため、災害などで停電した場合にも、常時と同様の交差点機能を発揮出来ます。また、信号機柱倒壊による、二次災害及び交通阻害の恐れがなくなります。
○適用条件
多数のメリットを述べました。しかし、何処でもラウンドアバウトを設置できるわけではありません。
端的に説明すると、ラウンドアバウトは交通容量(車両を捌く能力)が小さいため、交通量が多い道路では適用できません。
以下に、『道路構造令の運用と解説』及び『国交省のHP』より詳細な適用条件及び注意事項を示します。(飛ばしても問題ありません。)
▶交通量
交通量は総流入交通量10,000(台/日)未満が適用条件とされています。上回る場合は、各流出入部において、時間あたりの流入部交通容量とピーク時間あたりの流入交通量を踏まえ、設置可否を確認します。
▶幾何構造
外径は、設計車両の種類、隣接して接続する道路の交差角度、及び分離島の有無を踏まえ、車両の通行軌跡を考慮し設定します。中央島は、乗り上げを前提としません。
▶留意事項
(交通量)
- 横断歩行者・自転車が多い場合、交通確保に留意
(幾何構造)
- 形状は正円もしくは正円に近い形状が望ましい。
- 環道については、停車帯を設置しない。
- 分離島は設置することが望ましい。
- 中央島は通行する車両の見通しを十分に確保できる構造とする。
- 流出入部は安全かつ円滑に流出入できる構造とする。
- 幅員は走行性や安全性を踏まえるものとする。
- 環道とエプロンは利用者が認知できるよう区分する。
(交通安全施設)
- 照明は必要に応じ設置することが望ましい。
- 中央島に反射板等を設置することが望ましい。
- 案内標識「方面及び距離」、「方面及び方向の予告」、「方面及び方向」及び警戒標識「ロータリーあり」を、必要に応じ、設置することが望ましい。
- 区画線「車道外側線」及び「導流帯」を、必要に応じ設置することが望ましい。
○我が国の現状
ラウンドアバウトついて、諸外国と比較すると、日本ではあまり普及しておりません。アメリカのラウンドアバウト設置数が2千以上に対して、日本は100を超える程度です。
以下に、現状の参考資料として、立地特性や県別設置数を示したグラフをけいさいします。その中で立地特性を見ると、「住宅地」で主に普及していることが分かります。宮城県が普及している理由は、東日本大震災後の再開発によると思われます。
◎最後に
本記事では、日本ではまだ少ないラウンドアバウトについて紹介しました。
これからは、交通量の少ない道路で、ラウンドアバウトが普及していきますので、車両を運転する際のラウンドアバウトに流入する前は、一時停止し、歩行者や環道の優先車両等に留意して、走行するようにして下さい。
それでは〜